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トップページ>介護お役立ち記事>介護予防>高齢者の便秘の原因とは?便秘に良い食事や予防法を紹介

高齢者の便秘の原因とは?便秘に良い食事や予防法を紹介

便秘は若い女性だけの悩みではありません。
実は高齢者にとっても大きな悩みとなっています。
高齢者の便秘には、どんな原因があるのでしょうか。

本記事では高齢者の便秘について以下の点を中心にご紹介します。

  • 高齢者の便秘の原因
  • 高齢者の便秘を予防する生活習慣
  • 便秘が教える病気

高齢者の便秘について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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高齢者の便秘とは 

高齢者に多い便秘の原因には、以下のような特徴的なものがあります。

  • 腸内細菌のバランスの変化
  • 筋肉の衰え
  • 食事量の変化

さらにどのような症状が便秘と診断されるのか、また治療方法についても紹介します。

便秘の原因

高齢者の便秘には加齢に伴うことが多く、生理機能の低下などの要因があります。

腸内細菌のバランスの変化

腸内には「善玉菌」と「悪玉菌」、そしてどちらでもない「日和見菌」が混在しています。
理想的な腸内細菌のバランスは善玉菌:悪玉菌:日和見菌が2:1:7といわれています。
悪玉菌が2割を超えると、日和見菌が呼応して悪玉菌に変わるため一気に腸内環境が悪化します。 

加齢によって消化液が十分でないことや小腸での吸収量が低下するなどの理由から、60歳を超えるあたりから腸内環境は悪化し、悪玉菌が増え始めます。
腸内環境のバランスが崩れることで、加齢とともに便秘が増えていきます。

筋肉の衰え

高齢になると、足腰はもちろんのこと腹筋や背筋も衰えてきます。
便を排泄するためには「いきむ」ことが重要です。

排便に関わる筋力は「腹筋」「横隔膜筋」「骨盤底筋群」などさまざまです。
しかし、高齢になると排便に関わる筋肉が衰えてくるので、出したくても出ないという便秘状態になります。

食事量の変化

高齢になると、食欲が落ちて少食になります。
食事の量が減るということは、そもそも便の材料が少ないということです。
食事で摂取する水分も少なく、便をスムーズに出すための食物繊維も少ないため便秘になりやすくなります。

便秘の診断

毎日便が出ないと便秘だと思っている方も多いようです。
しかし、1週間に2、3回排便があり、苦しくなければ便秘とはいえません。
逆に毎日排便があっても、残便感やお腹のハリなどがあると便秘と診断されることもあります。

便秘の治療

高齢者の便秘には、いろいろな原因があります。
まずは便秘の原因となるような疾患を持っていないかどうか検査をします。
もし原因があれば、先に病気を治療します。

服用している薬が便秘の原因となっているケースもあります。
服用を中止してもいい薬なら、すぐに中止して様子を見ます。
しかし、薬の中止によって疾患が進行・悪化してしまうことが予想される場合には、生活指導や食事療法がとられます。

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高齢者の便秘に良い食事とポイント

高齢者の便秘の改善では、主に食事療法がとられます。
便秘に良い食事や食事をするときのポイントなどを紹介しましょう。

便秘に良い食事

便秘を改善するためには、腸内環境のバランスをよくするための食品を摂取することが大切です。
おすすめは以下のような食品です。

  • 納豆・オクラなど
  • ヨーグルト
  • 果物
  • オリゴ糖

それぞれ詳しくみていきましょう。

納豆・オクラなど

納豆やオクラはネバネバ食品の代表です。
このネバネバの正体は水溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、硬くなった便を柔らかくする作用があります。

同じ食物繊維には「不溶性食物繊維」もあります.
しかし、不溶性食物繊維は腸を刺激して腹痛を起こすこともあるため、高齢者の便秘対策としては避けた方がいいでしょう。

ヨーグルト

ヨーグルトの中には、善玉菌となる乳酸菌、ビフィズス菌などが含まれています。
腸内環境のバランスを整えることで便秘の解消効果が期待できるので、毎日摂取するように心がけましょう。

また、ヨーグルトにはいろいろな種類があり、含まれている菌の種類も違ってきます。
実際にいろいろ食べてみて、腸のコンディションがよくなったヨーグルトを選ぶといいでしょう。

果物

便秘には食物繊維が効果的です。
果物には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の両方がバランスよく含まれています。
果物の中でもおすすめなのが「リンゴ」です。

リンゴには、善玉菌のエサとなるオリゴ糖やビタミンCが含まれています。
また、腸のぜん動運動を促すリンゴ酸、クエン酸が含まれており、すりおろしても効果に変化がないため、歯の弱い高齢者にもおすすめです。

オリゴ糖

オリゴ糖は胃液で消化されず大腸まで届き、善玉菌のエサとなります。
オリゴ糖を多く含む食品は「ハチミツ」「バナナ」です。
ヨーグルトにハチミツやバナナをトッピングして食べると、一石二鳥です。

摂取する際のポイント

便秘予防のためには、食品だけでなく食べ方、調理の仕方なども大切です。
以下のようなポイントを守りながら、食事を楽しみましょう。

  • 規則正しく食べる
  • 水分補給をこまめにする
  • 発酵食品を食べる
  • 良質な油を摂取する
  • 偏食をしない

それぞれ詳しくみていきましょう。

規則正しく食べる

毎日決まった時間に食事を食べるようにしましょう。
とくに、朝食は便秘解消に重要です。
眠っていた胃腸を目覚めさせ、活発にして便意を促してくれます。

水分補給をこまめにする

便秘になる原因は、大腸に便がとどまる時間が長くなることです。
水分を吸収されてしまうため、便はどんどん硬くなっています。
とくに高齢者は、のどの渇きを覚える感覚が鈍くなっている可能性があるので、まわりの人が注意してあげましょう。

便秘解消には、ミネラルがたっぷり含まれた硬水がおすすめです。

発酵食品を食べる

発酵食品に含まれる乳酸菌は、生きたまましっかりと腸に届くのが特徴です。
発酵食品は、和食に使われる「味噌」「醤油」「納豆」「カツオ節」「酒粕」、そのほか「キムチ」や「チーズ」なども積極的に摂るようにしましょう。

良質な油を摂取する

脂っこいものの食べ過ぎはよくありませんが、高齢になると油ものが苦手になります。
しかし、適度な油は便の通りをよくしてくれます。
また、オリーブオイル、えごま油、ココナッツオイルなどの良質のオイルは、小腸で吸収されずに大腸を刺激するため、便秘の解消に効果があります。

偏食をしない

極端な偏食は、腸内環境を整えるための栄養が不足してしまう可能性があります。
とくに、肉類などの動物性食品は悪玉菌のエサとなって、腸内環境を乱します。
便秘だけでなく、おならや便が臭くなったときには、腸内環境が悪化していると考えていいでしょう。
以下の記事も参考にしてください。

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高齢者の便秘を予防する習慣

高齢者の便秘には、生活習慣も深くかかわっています。
生活習慣のなかでも「適度な運動」と「排便習慣」はとくに積極的に取り入れたい習慣です。

適度な運動

高齢者は、無理のない範囲で体を動かすことが大切です。
体を動かすことによって、排便に使う筋肉を鍛えることができます。
散歩や趣味のガーデニングなど、少しでも歩いたり、立ったり、座ったりといった運動を毎日行いましょう。

 寝たきりの高齢者でも、1日に何度か体位を変えたり、リクライニングで体を起こしたりするだけでも、腸に刺激を与えることができ、便秘の解消につながります。

排便習慣

便秘を予防するためには、排便のリズムをつくることが大切です。
朝起きて朝食を食べたら、便意がなくてもトイレに行く時間を作りましょう。
とりあえず、便座に座ってみるというだけでもかまいません。

また排便に介助が必要な方は、どうしても便意を我慢してしまいがちです。
我慢すればするほど便が硬くなって、便秘が悪化します。
便秘の悪化が進むと介護する人では手に負えなくなり、結局は病院で適切な処置をしてもらわなくてはなりません。

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便秘が解消できるマッサージ

高齢者の便秘解消に効果のあるマッサージやツボ押しを以下にご紹介します。

おなかの「の」の字+S状結腸マッサージ

大腸の流れを良くして便を校門へ移動させるイメージで行います。
詰まりやすいS状結腸のマッサージも合わせて行います。

【「の」の字マッサージ】

おへそを中心に「の」の字を描くように時計回りに手のひらで押す

    • 順番は、「おへその下」→「右下腹部」→「おへその上」→「左下腹部」
    • 手のひらの押す強さは1~2㎝程度沈む加減
    • 10回を2セット

【S状結腸マッサージ】

    • S状結腸の位置は左腰骨の出っ張りからやや内側に入ったところ
    • 手のひら、もしくは親指の根本でゆっくり押す
    • 10回を2セット

腸もみ

便が滞りやすい大腸の4隅を以下の要領でもむようにマッサージします。

  • 場所:左右のろっ骨の下及び腰骨の上の4隅
  • 右手でろっ骨の下と左手で腰骨の上を掴んでもみほぐす
  • 左手でろっ骨の下と右手で腰骨の上を掴んでもみほぐす
  • 3セット

お腹のツボ押し

以下のお腹のツボを心地よいと感じる強さでゆっくり押して腸に刺激を与えます。

  • 天枢(てんすう) :おへそから指3本分外側へ左右
  • 大巨(だいこ) :天枢から指3本分下で左右

背中のツボ押し

以下の背中のツボを心地よいと感じる強さでゆっくり押して腸に刺激を与えます。

  • 便秘点(べんぴてん) :一番下のろっ骨から指2本下で背骨から指4本分外側の左右
  • 大腸愈(だいちょうゆ):腰骨の高さで背骨から指2本分外側の左右

手のつぼ押し

以下の手のツボを反対の手の親指と人差し指で挟むようにして押します。

  • 合谷(ごうこく):手の甲の親指と人差し指の付け根の交錯点
  • 神門(しんもん):手首の内側の小指寄りの関節部分の骨と筋のくぼみ

足裏のツボ押し

以下の足裏のツボを押します。

  • 湧泉(ゆうせん):足裏の土踏まずの上のくぼんだところを左右
  • 腸のゾーン   :土踏まずにある小腸・大腸・肛門ゾーンを親指で押し流す
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高齢者の便秘が知らせる病気とは?

高齢者で便秘が長期間にわたり続く場合は、何かの病気が隠れているかもしれません。
「たかが便秘」と軽く考えず、消化器内科などで検査してもらいましょう。

消化器系の病気

便秘の原因の多くは、消化器系に何らかの障がいが起こっていることが多いものです。
食事や生活習慣を改善したのに、全く効果がないという場合には、1度検査を受けてみましょう。
高齢者の便秘で疑われるのが「大腸がん」です。

大腸がんは日本人のかかるがんで1位を占めています。
過敏性腸症候群も便秘症状が出ます。
ストレスや不安など精神的な要因が腸に影響を及ぼします。

知らせるサイン

大腸がんのサインは「細い便」「残便感」「血便」「何度も出る水様便」などです。
大腸がんが進行すると、腸管が狭くなるため便秘になりやすくなります。

過敏性腸症候群のサインは「便秘と下痢を繰り返す腹痛、腹部不快感」「排便すると症状が軽くなる」です。
このようなサインに気が付いたら、すぐに病院で検査を受けましょう。

薬の使い方

高齢者の便秘は加齢に伴い増加傾向

厚生労働省の国民生活基礎調査の結果を見てみると、女性は男性に比べて20〜30代の若いころから便秘がちだということがわかります。
しかし60歳以降になると、男性の便秘も増え始め、70歳以降では男女の差はほとんどなくなります

高齢者全体の30%近くが便秘症状があると推測され、高齢者の健康に対する悩みとして無視できない数字となっているのです。
出典:厚生労働省【平成 28 年 国民生活基礎調査の概況p41

高齢者の便秘のまとめ

ここでは、高齢者の便秘について紹介してきました。
その要点を以下にまとめます。

  • 高齢者の便秘の原因は「腸内細菌のバランス」「筋肉の衰え」「食事量の変化」など
  • 高齢者の便秘を予防する生活習慣は「適度な運動」と「排便習慣」など
  • 便秘が教える病気は主に消化器系の病気で「大腸がん」「過敏性腸症候群」など

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
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