2040年、私たちはどう生き、どう最期を迎えるのか? —医療・介護・法律が交錯した「ACP(人生会議)」の最前線

福村雄一
福村雄一司法書士

超高齢社会のピークとされる「2040年問題」まで、あと14年。単身高齢者の増加や地域コミュニティの希薄化が進むなか、私たちは「人生の最終段階」をどのように迎え、どう支え合っていけばよいのでしょうか。

2026年9月5日(土)、京都市の共創拠点会場(QUESTION 京都信用金庫)にて、医療・介護・福祉だけでなく、法律や行政、地域づくりにかかわるキーマンたちが全国から一堂に会する第11回日本ACP研究会が開催されました。今回の集会で提示された「これからの人生会議(ACP)」の最前線をお届けします。


会場を埋め尽くした多職種の参加者たち。交わされる会話からも熱気が伝わってくる。
目次

スポンサーリンク

大会長が掲げた「2040年問題」への挑戦

「アドバンス・ケア・プランニング(ACP:人生会議)」と聞くと、多くの人は「万が一のときに、どんな医療や延命治療を受けたいか」という事前指示書のようなものをイメージするかもしれません。しかし、今回大会長を務めた福村雄一氏(司法書士)が本集会のテーマに掲げたのは、「2040年の未来から考える」という極めて本質的で挑戦的な視座でした。単なる医療の選択にとどまらない、制度・法律・地域での支え合いを包括した多視点のアプローチです。

2040年に向けて独居高齢者や身寄りのない方が増える未来を見据え、医療者だけの議論に閉じず、司法書士や行政、ソーシャルワーカーなど多様な専門職を巻き込んでこの場を設計した点に、本会の強い問題意識と日本のACPの最先端となるリーダーシップが表れているように感じました。


大会長の福村氏。会場との質疑応答が白熱する。

スポンサーリンク

これからの「ACP:人生会議」ふたつの軸

全体のプログラム構成から浮かび上がってきたのは、今後の「ACP:人生会議」が向かうべき大きな2つの潮流です。

医療の選択を超えた「地域づくりと人生の物語」

一つは、ACPを「死や病気の準備」として捉えるのではなく、「どう生きたいか」「どんなまちで暮らし続けたいか」という日常的な対話や地域づくりそのものとして再定義する動きです。

過疎地域などでの先進的な実践においては、「これまでどう生きてきたか」という本人の物語や価値観を共有する文化を、平時から地域社会全体で育てていく取り組みが始まっています。

お金・制度・身寄り問題への「総合的支援」

もう一つは、超高齢社会のリアルである「お金」や「法的手続き」へのアプローチです。身寄りのない独居世帯の増加に伴い、生前の医療選択だけでなく、死後の手続きや家財整理、身元保証、自治体による支援事業など、「暮らしとお金・制度」を丸ごと支える仕組みづくりが急務となっています。法律家や行政、福祉が連携し、本人の意思を最後まで権利として守り抜くアプローチの重要性が強調されていました。


真剣にメモを取る参加者や自身の活動や課題を積極的に紹介する参加者が目立った。

関連記事

こうした「お金・制度」の備えについては、福村氏が編者を務めた『相続・遺言・介護の悩み解決 終活大全』でも詳しく解説されています。

「話し合っておいて」から「自然に話し合える社会」へ

会場で特に印象的だったのは、参加者一人ひとりの真剣な表情と、職種を超えた交流の多さでした。医療・介護の現場で抱える切実な葛藤があるからこそ、こうした多機関・多職種の協働の場が強く求められていたのだと感じさせられます。今回の集会を通して参加者の熱意が投げかけてきたのは、個人に「あらかじめ話し合っておいてください」と委ねる姿勢からの脱却です。「誰もが自然に自分の人生を語り、それを地域と制度で温かく支えられる社会をどうつくるか」という、次世代に向けた大きな課題提起でした。

相談ごとを持ちかけられるのを待つだけではなく、困りごとを多職種のほうから気づき、取りに行き、つなげていくといった取り組みは各地でもう始まっています。フォーマル/インフォーマルを問わず、地域にどんな人がいて、どんな困りごとを解決できるかといった「顔の見える」関係性を住民みずからが創造していく未来が語られました。

14年後の2040年に向け、一人ひとりの「大切にしたい生き方」を地域全体で紡ぐこの試みが、今後どのような芽を育てていくのか。大会長をはじめとする現場の挑戦者たちの動きに、これからも注目していきたいと思います。


ソーシャルワーカーによるセッションの登壇者。医療・福祉の枠を超えた真摯な議論が展開された。

スポンサーリンク

「これもACP!」事例を知りたいならオンデマンド

研究会では、日常診療・ケアの中で実践されているACPの「事例発表」が多く共有されていました。日々の現場で出会う「当たり前の事例」の中にこそ、ACPの本質を問い直す多くの示唆や学びが含まれていると考えます。一つひとつの事例に込められた意思決定の過程や関わりの積み重ねを知りたい方は、後日オンデマンド配信も可能です。

[後日オンデマンド](10月以降に配信予定)

参加申し込み〆切:9月30日まで(振込期日も同日まで)

■会員 3,000円
お申し込みはこちらhttps://app.payvent.net/embedded_forms/show/69f3a9d07b74f5cddb995d64

■非会員 6,000円
お申し込みはこちら
https://app.payvent.net/embedded_forms/show/69f3ac0d7b74f5cddc824dc6

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
WRITTEN BY
福村雄一
福村雄一
司法書士

司法書士法人福村事務所 代表司法書士

目次