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健達ねっと>健康お役立ち記事>高齢者の病気>不整脈に用いられる薬と分類|使い分け・副作用・飲み方について

不整脈に用いられる薬と分類|使い分け・副作用・飲み方について

不整脈の治療には、抗不整脈薬という薬物が用いられています。
抗不整脈薬は副作用のおそれが指摘されています。

抗不整脈薬には、どのような種類があるのでしょうか。
安全に抗不整脈薬を服用するには、どのような点に注意したらよいのでしょうか。
本記事では、不整脈の薬について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 抗不整脈薬とは
  • 抗不整脈薬の使い分け
  • 抗不整脈薬の副作用とは
  • 抗不整脈薬の副作用を防ぐには

不整脈の薬について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ、最後までお読みください。

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不整脈とは

不整脈とは心拍のリズムが異常になることをいいます。
大きく分けて、以下の3タイプがあります。

種類特徴
頻脈不整脈1分回の脈拍が100回以上
徐脈不整脈1分間の脈拍が50回以下
期外収縮脈が1拍飛ぶ・乱れる

不整脈の代表的な原因は、心筋梗塞などの心疾患です。
あるいは、高血圧・糖尿病・喫煙・飲酒・ストレスなどによって引き起こされることもあります。

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不整脈に用いられる薬と分類

不整脈の治療法としては、薬物療法が代表的です。
薬物療法は、頻脈不整脈に用いられることが一般的です。

ここからは、不整脈に用いられる薬の種類・特徴について解説していきます。

不整脈の薬は「抗不整脈薬」

不整脈の治療薬は、まとめて抗不整脈薬と呼ばれます。
抗不整脈薬は、全部で20種類以上あります。

不整脈とは、心臓を動かす電気信号の異常によって起こります。
たとえば電気信号がバラバラになったり、異常な経路を通ったりするケースが代表的です。

抗不整脈薬は、心臓への異常な電気信号をブロックする効果があります。
具体的には、不整脈を停止させたり、起こりにくくしたりする効果が期待できます。

不整脈に用いられる薬の分類

ヴォーン・ウイリアムズ分類」によると抗不整脈薬は4つのグループに分類できます。
それぞれの特徴などをみていきましょう。

Ⅰ群薬

Ⅰ群薬はナトリウムチャネル遮断薬と呼ばれます。
Ⅰ群薬は、心臓のナトリウムチャネルを遮断する作用があります。

ナトリウムチャネルとは、ナトリウムイオンの通り道です。
そもそも心臓は、ナトリウムイオンなどの金属イオンが出入りすることで拍動しています。

不整脈は、多くの場合、心臓への金属イオンの出入りが乱れることで起こります。
ちなみに心臓に金属イオンが出入りすることは、活動電位と呼ばれます。

Ⅰ群薬はナトリウムイオンの経路を封鎖することで、心臓の異常な活動電位を起こりにくくします。

異常な活動電位が収まると、脈拍は正常に戻りやすくなります。
Ⅰ群薬は、作用に応じて以下の3群に分類できます。

分類特徴代表的な商品名
Ⅰa群活動電位が収まるまでの時間を延長するキニジン・アミオダロン・リスモダン・シベノール・ピメノール
Ⅰb群活動電位が収まるまでの時間を短縮するキシロカイン・メキシチール・アスペノン
Ⅰc群活動電位が収まるまでの時間には影響しないタンボコール・プロノン・サンリズム

Ⅱ群薬

Ⅱ群薬は交感神経β受容体遮断薬と呼ばれます。
Ⅱ群薬の主な作用は、心臓の動きをゆるやかにして脈拍を下げることです。

頻脈不整脈では、心臓の動きが過剰になっています。
原因は、心筋に存在する交感神経β受容体という部位が、過度に刺激されるためです。

交感神経β受容体が活性化すると、心筋の収縮が盛んになるため、脈が早くなります。
Ⅱ群薬は交感神経β受容体の働きをブロックすることで、心臓の過活動を抑制します。

結果として、脈が下がりやすくなります。
Ⅱ群薬は頻脈不整脈だけでなく、高血圧・狭心症の治療に用いられています。

【代表的な商品名】

  • インデラル
  • ナディック
  • メインテート

Ⅲ群薬

Ⅲ群薬はカリウムチャネル遮断薬と呼ばれます。
Ⅲ群薬の主な作用は、心臓に出入りする金属イオンのうち、カリウムイオンの通り道をブロックすることです。

心拍が起こる大まかな仕組みは以下の通りです。

  • 心筋細胞にナトリウムイオンが入り、細胞活動が始まる
  • 心筋細胞からカリウムイオンが放出され、細胞活動が終わる

カリウムイオンが放出される前に、なんらかの原因で異常な場所の心筋細胞が活動すると、不整脈が起こります。

カリウムチャネル遮断薬は、カリウムの放出を抑え、異常な心筋細胞の活動を抑えます。

【代表的な商品名】

  • アンカロン
  • ソタコール
  • シンピット

Ⅲ群薬は、他の薬で効果が出ない場合の最終手段として用いられています。

Ⅳ群薬

Ⅳ群薬はカルシウムチャネル遮断薬またはカルシウム拮抗薬などと呼ばれます。
主な作用は、血管へのカルシウムイオンの通り道を塞ぐことです。

カルシウムイオンが流入すると血管の収縮が起こります。
血管が収縮すると、心臓はより強い力で血液を送り出さなければなりません。

結果、心臓が過活動状態になるため、頻脈不整脈が起こりやすくなります。
Ⅳ群薬はカルシウムイオンの経路をブロックすることで、血管の収縮を防ぎます。

すると心臓の働きが抑制されるため、脈がゆるやかになります。
Ⅳ群薬は、高血圧や狭心症の治療にも用いられています。

【代表的な商品名】

  • ワソラン
  • ベプリコール
  • ヘルベッサー

不整脈の薬の選び方

不整脈の薬は、不整脈のタイプなどによって使い分けられています。
主な適応例についてご紹介します。

Ⅰ群薬

Ⅰ群薬は3群に分かれており、それぞれ使用される場面が異なります。
主な使い分けについてみていきましょう。

Ⅰa群薬

Ⅰa群薬は、心室性・上室性の頻脈に用いられています。
具体的には以下のような不整脈に適応されます。

心房性期外収縮心房細動
心室性期外収縮心房粗動
上室頻拍心室細動
心室頻拍

Ⅰa群薬は、かえって不整脈を引き起こすことがあります。
そのため、心電図のQT間隔に乱れがある場合は、使用できないこともあります。

Ⅰb群薬

Ⅰb群薬は心室性不整脈に適用されることが一般的です。

  • 心室性期外収縮
  • 心室頻拍
  • 心室細動

Ⅰb群薬は、Ⅰa群薬のように不整脈を引き起こすことはほとんどありません。
また、心房にはほとんど作用しないため、心房性の不整脈には効果が期待できません。

Ⅰc群薬

Ⅰc群薬は、Ⅰ群薬の中でももっとも効果が強い薬剤です。
以下のような心室性・心房性の不整脈の治療に用いられます。

心房性期外収縮心房細動
心室性期外収縮心房粗動
上室頻拍心室細動
心室頻拍

Ⅰc群薬は不整脈の原因になることがあります。
そのため使用する場合は、心電図のQRS間隔に注意する必要があります。

また、Ⅰc群薬は心不全を悪化させる可能性がある点にも留意しなければなりません。

Ⅱ群薬

Ⅱ群薬は、主に上室性の不整脈の治療に用いられます。

  • 心房細動
  • 心房粗動
  • 洞頻拍
  • 房室結節リエントリー

Ⅱ群薬は交感神経が活性化して起こる不整脈の治療に有効です。
交感神経が活性化しやすい場面とは、たとえば運動後・ストレス時などがあります。

Ⅲ群薬

Ⅲ群薬は、主に心室性の不整脈に用いられます。

  • リエントリー性上室心拍
  • 心室心拍
  • 心室頻拍
  • 心室細動
  • 肥大型心筋症の心房細動

Ⅳ群薬

Ⅳ群薬は、主に以下の不整脈に使用されます。

  • リエントリー性上室心拍
  • 頻拍性心房細動
  • 心房粗動

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抗不整脈薬の使い分け

心室期外収縮の治療では、心疾患の有無に応じて薬が使い分けられます。
主な使い分けについて紹介します。

心疾患がある場合

心疾患がある場合、Ⅰa群薬・Ⅰc群薬は基本的に使用されません。
Ⅰa群薬・Ⅰc群薬は、かえって不整脈を引き起こすことがあるためです。

特にⅠc群薬は不整脈を起こす確率が高く、そのまま死に至らしめることもあります。
そのためⅠc群薬は、心疾患がある方の治療にはあまり用いられません。

心疾患がある方の心室期外収縮の治療では、まずⅡ群薬が使用されることが多いです。
Ⅱ群薬はⅠ群薬やⅢ群薬に比べると、心臓に関する副作用が起こりにくいためです。

もしⅡ群薬で十分な効果が出ない場合は、Ⅲ群薬が選択されることもあります。

心疾患がない場合

心疾患がなく、特に健康・日常生活に問題が無い場合は、治療しないこともあります。
一方、心室期外収縮の頻度が高い場合は、心不全のリスクが高いため治療が必要です。

心疾患がない場合は、Ⅱ群薬が選択されます。
Ⅱ群薬は交感神経に働きかけて脈を整える薬剤であり、Ⅰ群薬などに比べると心臓への負担が少ないのが特徴です。

Ⅱ群薬は、特に日中や運動時に不整脈が起こりやすい方に向いています。
Ⅱ群薬で効果が得られない場合は、Ⅰb群薬が選択されることが一般的です。

Ⅰb群薬は心室性の不整脈に高い効果を発揮し、かつ他の薬剤に比べると心臓の副作用が起こりにくいためです。

Ⅰb薬で効果がなければ、次はⅠaかⅠcが検討されます。
どちらが適用されるかは、個人の体質・心臓の状態などによって異なります。

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不整脈の薬による副作用

抗不整脈薬は副作用を起こすことがあります。
そのため、もともと基礎疾患がある方などは、慎重に使い分ける必要があります。

Ⅰ群薬

Ⅰ群薬の主な副作用は、不整脈の誘因・心不全の悪化などです。
抗コリン作用による副作用も代表的です。

抗コリン作用とは、脳内神経伝達物質「アセチルコリン」の働きを抑制する作用です。
アセチルコリンは、脳の働きを助けて、記憶力・学習能力・集中力を高める物質です。

また、心臓・消化管・泌尿科・気道などの働きを助ける作用もあります。
抗コリン作用が強くなると、脳・内臓の働きが抑制されます。
そのため、さまざまな不調があらわれやすくなります。

Ⅰa群薬

Ⅰa群薬は心臓の収縮作用が強いため、心疾患のある方には原則として使用されません。
また、低血糖作用があるため、糖尿病患者の方に使用する場合は注意しましょう。
主な副作用は以下の通りです。

心室性不整脈口の渇き
排尿障害低血糖
頭痛吐き気・食欲不振
口の渇き

Ⅰb群薬

Ⅰb群薬は、Ⅰ群薬の中では副作用が起こりにくい薬剤です。
代表的な副作用は以下の通りです。

  • 手の震え
  • めまい
  • 吐き気・食欲不振

Ⅰc群薬

Ⅰc群薬は不整脈を誘発するおそれがあります。
また、突然死を招くケースも報告されています。

Ⅱ群薬

Ⅱ群薬は、うつ病の方や喘息・呼吸器障害などがある方にはあまり向いていません。
主な副作用は以下の通りです。

めまい呼吸困難
倦怠感徐脈
ふらつきうつ症状
心不全の悪化発疹
視力異常

結果として、意欲の低下・悲観的・倦怠感などのうつ症状が出やすくなります。
呼吸困難が起こるのは、Ⅱ群薬には気管支を収縮させる作用があるためです。

Ⅲ群薬

Ⅲ群薬は不整脈を誘発するおそれがあります。
そのため、心疾患がある方にはあまり使用されません。
主な副作用は以下の通りです。

不整脈吐き気・食欲不振
頭痛倦怠感
立ちくらみ息切れ

Ⅳ群薬

Ⅳ群薬は、消化器系・精神系の副作用が出ます。
主な副作用は以下の通りです。

吐き気・食欲不振ふらつき
めまいむくみ
眠気徐脈
頭痛

Ⅳ群薬はグレープフルーツジュースと飲み合わせると、むくみが起こりやすくなります。

薬の使い方

不整脈の薬の飲み方と注意点

抗不整脈薬の飲み方や注意すべきポイントをご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

飲み方

まず前提として、処方された薬は医師・薬剤師の指導通りに服用しましょう。
自己判断で薬の量を変えたり、服用を中止したりすると、副作用のリスクが高まります。

薬を飲むときは、コップ1杯程度の水・ぬるま湯が適当です。
ジュース・お茶などで薬を飲むと、薬効成分の体内吸収が阻害されるおそれがあります。

注意点

抗不整脈薬は、体質などによって相性があります。
効果が十分でない場合や、副作用がある場合は、他の医薬品に変更する必要があります。

効果・副作用を見極めるためにも、服用後の体調の変化には注意してください。
脈が遅くなった・早くなったなど、服用後に感じることがあればメモしておきましょう。

副作用についても、しっかり記録してください。
副作用を我慢すると、かえって体調・健康を損ねる可能性があります。

副作用が重篤な場合は、服用を中止して、ただちにかかりつけ医に相談してください。

抗不整脈薬の安全性

抗不整脈薬は、不整脈などの副作用を引き起こすことがあります。
そのため、「本当に抗不整脈薬を飲んでもよいの?」と不安に思われる方もいるでしょう。

抗不整脈薬は、効果・安全性が確保されています。
実際に抗不整脈薬の臨床評価は、明確なガイドラインに基づいて行われています。

抗不整脈薬の副作用のリスクはゼロではありませんが、適切に服用すればリスクは低減できます。

副作用を避けるためにも、処方された抗不整脈薬は、医師の指導にしたがって服用してください。

出典:厚生労働省【・抗不整脈薬の臨床評価方法に関するガイドラインについて(◆平成16年03月25日薬食審査発第325035号)

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不整脈の薬のまとめ

ここまで、不整脈の薬についてお伝えしてきました。
不整脈の薬を以下にまとめます。

  • 抗不整脈薬とは、不整脈を起こりにくくして、心脈を整える薬剤
  • 抗不整脈薬は、不整脈の種類に応じてⅠ~Ⅳ群薬が使い分けられる
  • 抗不整脈薬の副作用は種類によって異なるが、不整脈の誘発・消化器系の不調などが代表的
  • 抗不整脈薬の副作用を防ぐには、処方薬を適切に服用することが大切

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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