【最新版】記憶障害の検査とは?検査方法・費用相場・何科を受診すべきか・原因疾患まで徹底解説

「最近、身近な家族の物忘れが急に増えた」「大事な約束や出来事を丸ごと忘れてしまう」といった症状が見られると、「記憶障害や認知症ではないか」と大きな不安を感じる方も多いでしょう。

記憶障害は、加齢による単なる物忘れとは異なり、認知症をはじめ、脳血管障害、頭部外傷、あるいはストレスやうつ病など、多様な要因によって引き起こされます。

現在では、アルツハイマー病の進行を抑える新薬(疾患修飾薬)の登場などにより、早期検査・早期診断の重要性がこれまで以上に増しています

本記事では、記憶障害の主な症状タイプや原因となる疾患をはじめ、何科を受診すべきか、脳画像検査や神経心理検査の具体的仕様、検査費用の一覧、治療・リハビリ方法まで詳しく解説します。

目次

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記憶障害とは?主な5つの症状タイプ

記憶障害とは、脳の損傷や機能低下により、情報を「覚える(記銘)」「保つ(保持)」「思い出す(想起)」という一連のプロセスが正常に働かなくなる状態です。障害される記憶の種類や時間軸によって、主に5つのタイプに分類されます。

記憶障害の5つのタイプ
  1. 短期記憶障害(数秒〜数分前の出来事を忘れる)
  2. 長期記憶障害(昔の出来事や思い出が思い出せない)
  3. エピソード記憶障害(体験した出来事そのものが丸ごと抜け落ちる)
  4. 手続き記憶障害(身体で覚えた特技や家事の手順が分からなくなる)
  5. 意味記憶障害(言葉の意味や物の名前・用途が分からなくなる)

1. 短期記憶障害(近時記憶障害)

数秒から数分〜数日程度の「直前の出来事」を留めておくことが困難になります。アルツハイマー型認知症の初期段階から顕著にあらわれる代表的な症状です。

具体的な例:

  • さっき食べたばかりなのに「朝ご飯はまだ?」と聞く
  • 数分前に話した内容や質問を何度も繰り返す
  • 今日が何月何日か、何曜日かが分からなくなる

2. 長期記憶障害(遠隔記憶障害)

過去に蓄積された数か月〜数年前、あるいは若い頃の記憶が抜け落ちてしまう状態です。認知症が進行すると、短期記憶に続いて長期記憶も徐々に損なわれていきます。

具体的な例:

  • 自分が通っていた学校の名前や職歴を思い出せない
  • 家族の顔や名前、自分の生年月日が分からなくなる

3. エピソード記憶障害

自分が関わった「体験や出来事の全体」が記憶から完全に消え去ってしまう状態です。

加齢による物忘れの場合、「朝食のメニュー(一部)」を忘れてもヒントがあれば思い出せますが、エピソード記憶障害では「朝食を食べた体験そのもの(全体)」が消失するため、ヒントがあっても思い出すことができません。本人には忘れている自覚がない点も大きな特徴です。

4. 手続き記憶障害

長年の練習や学習によって身体に染みついた「道具の操作」や「スキル(手続き記憶)」が損なわれる障害です。

具体的な例:

  • 自転車の乗り方やピアノの弾き方が分からなくなる
  • 料理、洗濯、掃除などの家事の手順が組み立てられなくなる

5. 意味記憶障害

言葉の意味や、物・記号が表す概念(意味記憶)が理解できなくなる障害です。会話の中で「あれ」「それ」といった指示語が急増し、言葉のキャッチボールが成り立ちにくくなります。

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記憶障害を引き起こす主な原因疾患

記憶障害は単一の病気ではなく、さまざまな背景疾患や身体的トラブルによって発生します。

記憶障害の主な原因
  • 認知症(アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型など)
  • 軽度認知障害(MCI)
  • 高次脳機能障害(脳卒中・頭部外傷)
  • パーキンソン病
  • 一過性全健忘(TGA)
  • 脳腫瘍や脳膿瘍
  • 抑うつ・心因性(仮性認知症)

① 認知症(アルツハイマー型・脳血管性等)

認知症は記憶障害の原因として最も頻度が高く、脳神経細胞の変性や減少によって起こります。特にアルツハイマー型認知症では、記憶の司令塔である「海馬(かいば)」から萎縮が始まるため、初期から強い短期記憶障害・エピソード記憶障害があらわれます。

② 軽度認知障害(MCI)

健常と認知症の中間に位置する段階です。日常の基本動作は自立しているものの、同年代に比べて記憶力の低下が顕著に見られます。早期に発見して適切な予防策を行うことで、正常な状態への回復や進行の抑制が期待できます。

③ 高次脳機能障害(脳卒中・頭部外傷)

脳梗塞や脳出血といった脳血管障害、あるいは交通事故などの打撲(頭部外傷)によって脳の記憶回路が局所的に損傷を受けることで生じます。記憶障害のほか、集中力が続かない「注意障害」や、段取りが組めない「遂行機能障害」などを伴うケースが一般的です。

④ パーキンソン病

脳内のドパミン神経が減少することで、手足の震えや筋肉のこわばりなどの運動障害が起こる病気ですが、進行に伴って認知機能や記憶機能に障害があらわれることがあります。

⑤ 一過性全健忘(TGA)

脳や体に目立った器質的異常がないにもかかわらず、突然数時間〜24時間程度、新しいことを全く覚えられなくなる一時的な記憶障害です。多くは一日以内に自然回復しますが、発症中の記憶は完全に抜け落ちます。

⑥ その他の原因(脳腫瘍、抑うつ、甲状腺機能低下症など)

大脳にできた腫瘍(脳腫瘍や脳膿瘍)が記憶領域を直接圧迫して生じる場合や、強いストレス・うつ病によって脳のはたらきが麻痺する「仮性認知症」、ホルモン異常(甲状腺機能低下症・ビタミン欠乏症)など、治療によって治るタイプの記憶障害も存在します。

記憶障害が疑われたら「何科」を受診すべき?

記憶に違和感を感じた場合、適切な専門医を受診することが早期治療への第一歩です。まずは、普段の健康状態を知っている「かかりつけ医」に相談するのがスムーズですが、専門医療機関へ直接受診する際は以下の診療科が目安となります。

おすすめの相談先・受診科
  1. 物忘れ外来(認知症専門外来)
  2. 脳神経内科・神経内科
  3. 精神科・心療内科
  4. 地域包括支援センター(公的な相談窓口)

物忘れ外来:総合病院などに併設されている物忘れ専門の診療科です。医師、公認心理師、ソーシャルワーカーらが連携し、記憶障害の原因を多角的な検査で正確に特定してくれます。

脳神経内科:脳・神経・筋肉の病気を専門的に診察します。脳梗塞やアルツハイマー病など、脳の構造的異常に伴う記憶障害の診断に適しています。

精神科・心療内科:ストレスや抑うつに伴う記憶障害(仮性認知症)や、認知症に伴うBPSD(妄想や不穏)の診療を得意とします。

受診前にご家族が準備しておくべきポイント(問診対策)

認知症や記憶障害のご本人は、自分の忘れっぽさを自覚できていないケースが多くあります。そのため、診察ではご家族からの情報提供が極めて重要な判断材料となります。

受診時に伝えるとスムーズなメモ内容
  • 「いつ頃から」物忘れが気になり始めたか
  • 具体的に「どのような失敗や言動」があったか(エピソードのメモ)
  • 日常生活で「困っていること」(料理、薬の管理、買い物など)
  • 持病、現在服薬中のお薬、既往歴

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記憶障害の主な検査方法(脳画像検査・神経心理検査)

医療機関で行われる記憶障害の検査は、大きく分けて「脳画像検査(脳の形や働きを見る)」と「神経心理検査(質問やテストで記憶力を測る)」の2種類があります。

1. 脳画像検査(原因の特定)

脳の構造変化(萎縮や出血)や、脳内の血流状態を直接可視化することで、記憶障害を引き起こしている原因病気を突き止めます。

① MRI検査(磁気共鳴画像法)
強烈な磁力と電波を使って、脳の断面写真を鮮明に撮影する検査です。
放射線被ばくがなく身体への負担が少ないのが特徴です。海馬周辺の微細な萎縮や、小さな脳梗塞の跡を正確に把握できます。※心臓ペースメーカー等の体内金属がある方は受けられません。

② SPECT検査(単一光子放射断層撮影)
微量の放射性医薬品を体内に注射し、脳の各部位への血流状態(脳のはたらき)を可視化する検査です。
形態変化(見た目の萎縮)がまだ目立たない超初期の認知症であっても、脳血流の低下を捉えることで早期発見が可能です。

③ MIBG心筋シンチグラフィ(鑑別診断)
レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症を鑑別するために用いられる特殊な検査です。心臓の交感神経の働きを調べることで、精度高く病型を判定します。

2. 神経心理検査(記憶力・認知機能の測定)

対面で簡単な質問に答えたり、図形を描いたりすることで、記憶力や知能の低下度合いを数値化(点数化)します。

① 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
日本で最も広く用いられている認知症スクリーニングテストです。全9問(30点満点)で構成され、20点以下の場合に認知症の疑いと判定されます。今いる日付や場所(見当識)、3つの言葉の暗記・再認、数字の逆唱などの問題が出題されます。

② ミニメンタルステート検査(MMSE)
世界的に使用されている国際的な知能検査です。全11問(30点満点)で、23点以下で認知症疑い、24〜27点で軽度認知障害(MCI)の疑いと診断されます。HDS-Rの問診に加え、図形模写や文章の読み書きなど視空間認知を見る設問が含まれます。

③ ウェクスラー記憶検査(WMS-R / WMS-IV)
言語的な記憶力や視覚的な記憶力など、記憶の各領域を網羅的・詳細に調べる国際的な標準記憶検査です。高次脳機能障害や軽度な記憶障害の度合いを細かく分析する際に用いられます。

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記憶障害検査の費用相場

各種検査を受ける際の自己負担額の目安です(公的健康保険が適用されます)。

検査の種類1割負担の目安3割負担の目安備考
MRI検査約 2,500円 〜 3,500円約 8,000円 〜 10,000円造影剤を使用する場合は別途加算
SPECT検査約 7,000円 〜 9,000円約 20,000円 〜 30,000円薬品代込みの概算費用
神経心理検査約 70円 〜 300円約 200円 〜 900円HDS-RやMMSEなどのテスト費用

※別途、初診料・再診料や血液検査費用などがかかります。

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記憶障害の治療法・リハビリ・予防策

記憶障害に対する治療やアプローチは、原因となる病気によって異なります。

アプローチの方向性
  • 原因疾患の治療(ホルモン補充、うつ病治療、脳卒中の再発予防)
  • 認知症への対症療法・進行抑制(薬物療法・非薬物療法)
  • 記憶リハビリテーションとメモ代償手段の活用
  • 日常での予防習慣(運動・食事・睡眠・社会参加)

1. 原因に応じた治療

治療で改善する記憶障害:
甲状腺機能低下症やビタミン欠乏症が原因の場合は、ホルモンやビタミンの補充療法で記憶力が回復します。うつ病による仮性認知症の場合も、抗うつ薬(SSRI等)や休養によって改善が望めます。

認知症の進行抑制:
アルツハイマー病などでは、抗認知症薬(コリンエステラーゼ阻害薬など)や、早期段階で投与する最新の抗アミロイドβ抗体薬を用いて進行を長期間遅らせます。

2. 記憶のリハビリテーション

作業療法士などによる指導のもと、記憶力を刺激するトレーニングや、忘れることを前提とした「代償手段」を身につけます。

  • カレンダー、日記、お薬カレンダー、メモ帳を活用したメモ習慣の確立
  • 回想法や計算ドリル、趣味活動を通じた脳への適切な刺激

3. 日常生活でできる記憶障害の予防習慣

脳の血管と神経細胞を健康に保つため、日頃から以下の生活習慣を意識しましょう。

  • 適度な有酸素運動(ウォーキングやコグニサイズで脳血流をアップ)
  • バランスの良い食事(青魚のDHA/EPA、ビタミンB群、発酵食品の摂取)
  • 十分な睡眠(睡眠中に脳内の老廃物アミロイドβが排出される)
  • 積極的な他者との交流(おしゃべりや趣味で孤立を防ぐ)

まとめ

今回の重要ポイントを振り返ります。

  • 記憶障害は「直前を忘れる短期記憶障害」や「体験丸ごと忘れるエピソード記憶障害」など複数のタイプがある
  • 原因は認知症、MCI、脳血管障害、ストレス・うつ病、甲状腺疾患など多岐にわたる
  • 違和感を感じたら、「物忘れ外来」や「脳神経内科」を早期受診するのがおすすめ
  • 検査には脳画像検査(MRI・SPECT等)と神経心理検査(HDS-R・MMSE等)が用いられる
  • 原因疾患に応じた治療と、リハビリ・生活習慣の改善によって記憶機能の維持を図ることが重要

記憶力の低下はご本人だけでなくご家族にとっても不安の大きな症状ですが、早期検査によって適切な手立てを打つことができます。

焦らず専門医や相談窓口(地域包括支援センターなど)を頼りながら、一歩ずつ対策を進めていきましょう。

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