【最新】高次脳機能障害の注意障害とは?5つのタイプ・具体例・検査・リハビリや支援制度を徹底解説

病気やケガの後遺症として生じる「高次脳機能障害」。その中でも頻繁に見られ、仕事や日常のあらゆる場面で支障をきたしやすいのが「注意障害」です。

  • 集中力が続かず、単純なミスが増えた
  • 電話をしながらメモを取ることができない
  • 周囲がうるさいと会話に集中できない

注意障害は外見からは障害が見えにくいため、周囲から「やる気がない」「うっかりしているだけ」と誤解されやすい特徴があります。

また、注意障害にはいくつかのタイプがあり、タイプに合わせた適切なリハビリや環境調整が必要です。

この記事では、高次脳機能障害による注意障害の5つのタイプと具体例、主な検査方法、認知リハビリテーションの手法、利用できる支援制度まで分かりやすく解説します。

目次

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高次脳機能障害とは?注意障害の位置づけ

高次脳機能障害とは、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)などの脳血管障害や、交通事故・転倒による頭部外傷、脳炎、低酸素脳症などによって脳が損傷し、言語・記憶・注意・思考・感情などの高度な脳機能に支障が出た状態です。

高次脳機能障害の主な症状

  • 注意障害:集中力の低下、刺激への過敏、作業のミス(本記事のテーマ)
  • 記憶障害:新しいことを覚えられない、約束や予定を忘れる
  • 遂行機能障害:計画を立てて段取りよく行動できない
  • 社会的行動障害:感情のコントロールが効かず怒りっぽくなる、依存的になる
  • 失語症・半側空間無視:言葉が出ない・理解できない、視界の片側を認識できない

注意障害は、記憶や思考、段取りといったすべての認知機能の「土台(ベース)」となる障害です。

そのため、注意障害を改善・サポートすることが、他の高次脳機能障害のリハビリを進める上でも極めて重要となります。

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高次脳機能障害による注意障害の5つのタイプと具体例

注意障害は、脳のどの機能が低下しているかによって主に5つのタイプに分類されます。それぞれのタイプと生活上の具体例を確認しましょう。

タイプ概要・特徴日常生活・仕事での具体例
① 容量性(全般性)注意障害注意の容量(キャパシティ)自体が小さくなる状態。処理すべき情報量が多いとオーバーフローを起こす。・長い説明を聞いても理解できない
・桁数の多い計算や複雑な手順でミスを連発する
② 選択性注意障害多くの情報の中から、自分に必要な対象だけを選んで集中することが難しくなる状態。・仕事中に周りの話し声や物音が聞こえると集中が切れる
・たくさんの商品が並ぶ棚から目的の物を選べない
③ 持続性注意障害一つの対象や作業に対して、一定時間集中(注意)を維持することが困難になる状態。・読書や映画鑑賞が最後まで続けられない
・作業の「開始直後」と「終盤」でミスや品質に大きな差が出る
④ 転換性注意障害必要に応じて注意の対象をスムーズに切り替えることが難しくなる状態。・作業中に声をかけられても、すぐに対応を切り替えられない
・一つの工程や済んだ話題に固執し、次の作業に進めない
⑤ 配分性(分配性)注意障害2つ以上の出来事や作業に同時に注意を配ることが困難になる状態。・電話をしながら手元でメモを取ることができない
・料理中、鍋火をかけたまま別の作業をして焦がしてしまう

注意障害の検査・評価方法

注意障害は目に見えない障害であるため、医療機関(リハビリテーション科、神経内科、精神科など)で標準化された心理・認知機能検査を行って正確に状態を把握します。

代表的な検査法

TMT(Trail Making Test:トレイル・メイキング・テスト)

  • TMT-A:ランダムに配置された1〜25の数字を順番に線で結び、所要時間を測定(持続性・選択性注意の評価)
  • TMT-B:数字(1〜13)とひらがな(あ〜し)を「1→あ→2→い…」と交互に線で結ぶ(転換性・配分性注意の評価)

CAT(標準注意検査法:Clinical Assessment for Attention)

日本で広く用いられる注意障害の総合的検査バッテリー。数字の抹消試験、逆唱、連続足し算などを通じて、選択性・持続性・転換性・配分性などの各注意機能を多角的に測定します。

PASAT(パサット:ペースト加算課題)

1秒または2秒ごとに聞こえてくる数字を聞き、直前の数字と足し算し続ける検査。配分性注意や情報処理速度を負荷をかけて評価します。

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注意障害のリハビリテーション(認知リハビリ)

注意障害のリハビリでは、脳の可塑性を促す訓練(机上訓練・作業訓練)と、道具や周囲の工夫による「代償手段・環境調整」を組み合わせて行います。

リハビリの3つの介入アプローチ

特異的介入(弱点に合わせた個別トレーニング)

低下している特定の注意機能に絞って訓練します。

例:選択性注意には「無数の文字から指定文字を消す(選択抹消課題)」、配分性注意には「歩きながら計算する(二重課題)」など。

非特異的介入(注意力全般・持続力の向上)

難易度を調整した課題を反復して行い、注意力全般の底上げを図ります。

例:間違い探し、ナンプレ、簡単な計算ドリル、PC入力作業、商品の仕分け作業など。

段階的介入(スモールステップ)

確実に達成できる簡単な目標から始め、徐々に作業時間や情報量(雑音などの負荷)を増やして注意力レベルを段階的に上げていきます。

代償手段と環境調整(すぐに実践できる工夫)

生活上の事故やミスを防ぐためには、無理に集中しようとするだけでなく環境を整えることが最も実用的です。

  • 静かな環境づくり(選択性注意対策):デスクの周りに目隠し(パーテーション)を置く、作業中はテレビやラジオを消す、耳せんを活用する
  • 作業の単一化(配分性注意対策):「同時に2つのことをしない」を徹底する(例:車を停車させてから電話に出る)
  • アラームやチェックリストの活用(持続性・転換性注意対策):一定時間ごとにタイマーを鳴らして休憩を挟む、作業手順を視覚的なマニュアル(チェックリスト)にして掲示する

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高次脳機能障害・注意障害の方への社会的支援制度

注意障害により日常生活や復職に困難が生じる場合、さまざまな公的支援制度を利用できます。

高次脳機能障害支援センター

都道府県・指定都市に設置されている専門相談窓口です。支援コーディネーターが医療・福祉・就労に関する相談に乗り、地域の適切なサービスへ繋ぎます。

障害者総合支援法に基づく福祉サービス

自立訓練(機能訓練・生活訓練)や、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)などを通じて、地域生活や社会復帰のためのトレーニングが受けられます。

精神障害者保健福祉手帳

高次脳機能障害の程度に応じて申請・取得が可能です(身体麻痺を伴う場合は身体障害者手帳も対象)。税金の減免、公共料金や交通機関の割引、障害者雇用枠での就職応募などが可能になります。

障害者差別解消法(合理的配慮の提供)

事業主や行政機関に対し、障害の特性に応じた「合理的配慮」(静かな作業環境の整備、手順書の提供、短時間勤務の考慮など)を求める根拠となる法律です。

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注意障害に関するよくある質問(Q&A)

Q1. 注意障害があると車の運転はできませんか?

A. 注意障害があると、周囲の歩行者や車両への注意配分が難しくなったり、とっさの危険回避が遅れたりするため、事故のリスクが非常に高くなります。免許更新や運転再開にあたっては、主治医による診断や医療機関でのシミュレーター検査・実車評価を受け、安全性を確認することが必須です。

Q2. 家族や職場の上司はどのように接すればいいですか?

A. ミスをしたときに「なぜ集中しないのか」と感情的に責めると、激しい興奮(脱抑制)やうつ状態を招きます。「1度に1つの指示を短く出す」「指示をメモに書いて渡す」「静かな部屋で作業してもらう」など、環境面でのサポートを心がけましょう。

まとめ

高次脳機能障害に伴う注意障害について、重要ポイントをおさらいします。

  • 注意障害には「容量性」「選択性」「持続性」「転換性」「配分性」の5つのタイプがある
  • 注意障害は認知機能全体の土台となるため、初期からの適切な評価とリハビリが重要である
  • リハビリでは、脳のトレーニングに加え、アラームや静かな環境づくり(代償手段・環境調整)を導入することが効果的
  • 高次脳機能障害支援センターや各種福祉サービス、障害者手帳などの制度を積極的に活用する

注意障害の特性を正しく理解し、本人と周囲が協力して環境を整えることで、生活や仕事上のトラブルは大きく減らすことができます。

お一人で抱え込まず、専門機関や主治医に相談しながら一歩ずつ進めていきましょう。

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